
第103話:【現在】最後に伝えたかった① (あの時、一番好きだった君に。)
悪いことはしていないのに、逃げるように会社を後にする日が続く。同じ時間に帰るのは気まずい。 あぁ、こんな思いをすることは、もうないと思...
赫峰あくるの小説置き場
悪いことはしていないのに、逃げるように会社を後にする日が続く。同じ時間に帰るのは気まずい。 あぁ、こんな思いをすることは、もうないと思...
「千景ちゃん? この勤務表に挟んであるクリップ、何処で買ったの?」 「これ? 近所の雑貨屋さん。可愛いでしょ、魔法陣になってるの」 「珍...
外は雨の音が響く。声がきちんと聞こえるように、私は音量を上げた。 「──もしもし」 『あ……千景さん……?』 「うん、どうしたの?...
雨は止むことなく、その後夜になっても降り続けていた。ザァザァと降る雨は、時折大きな雷の音を轟かせ、暗闇を運ぶ。 「酷い雨だなぁ」 ...
私がデートに行くわけではない。告白するわけでも。しかし、私はとても緊張していた。 今日、綾ちゃんと航河君は水族館に出かけている。2人き...