手作りは苦手な人もいるから。そう思って、最初は作らないつもりだった。
何が好きだろう。何に興味があるだろう。ずっと君の事考えながら。
買ったチョコレートを渡した。当日には渡せないから、少しだけ早めに。
直接「はい!」って渡したかったけど、渡せなかった。それでも良かった。
でも何処かでまだ納得していなくて。要らないかもしれないけど、チョコレートを作った。
押し付けがましいかな?とか、二個も要らないよね?とか。考えたけど、渡したかった。
「手作りのクッキー貰えたんだ」
心なしか嬉しそうに話す君に、私は何も言えなかった。
「そうなんだ。良かったじゃん。私も作ったけど、元々はこっちあげようと思ってたんだよね」
笑顔で返し写真を見せた。
「まぁ、食べちゃって」
「なんか寂しい子じゃん? 私。食べるけどさ」
鞄に入れたチョコレート。
胸がキュッとなって、何も言えなくて、甘くない恋をゆっくり噛み締めた。