第55話:【回想】プレゼントと飲み会と③ (あの時、一番好きだった君に。)

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 「いやー、どうなってるかなって、気になってさぁ」
「別に電話しなくてもわかるでしょ。メールしてたんだし」
「えへへー、でも、今つまんないもん」
「彼氏はどうしたの?」
「隣で酔いつぶれて寝てるのぉ」
「……さては摩央も酔っ払いね?」
「あは、ばれたぁ?」
「バレるわ」
「えー? なんか怒ってる?」
「怒ってないけど、お酒強くないんだから程々にしておかなきゃダメだよ」
「はぁい。んでんで。どうなの?こーが君」
「どう……って、何が?」
「クリスマスイブに電話かかってくるなんて、何かあったのかなぁー? って、無駄に勘繰ってくれないかなぁって」
「勘繰るって、何を」
「男なのかなー? とか。こんな時間からお誘いなのかなぁ? とか」
「まさか。それ狙ってかけてきたわけじゃない、よね?」
「うふふー」

 呆れた。私で遊ばないでいただきたい。しかし、半分くらいは祐輔と気まずくないか心配出掛けてきてくれたのだろう。……そういうことにしておく。

“航河君そんなこと気にするのかねぇ”

 私が今いる位置からは、先程まで座っていた席が見える。航河君も祐輔も私の斜向かいだ。私は今見ている方に背を向けて座っていたから、此処からだと航河君と祐輔の顔を見ることが出来る。ついでに、おみさんの後ろ姿も。

“ふむ、まだ席移動とかしてないみたいね”

「で? で? どうなの? どうなの?」
「そんなに急かさないでよ……」

 席をじっと見ると、気付いたのか航河君と目が合った。慌てて目を逸らし、今度は祐輔の方を見る。祐輔も気付いて私に笑顔を向けた。その笑顔に私もお返しして、背を向けた。

「んー、別に、祐輔は普通かな。目が合ったけど、ニッコリ笑ってたから微笑み返しといた」
「こーが君はー?」
「……目が合ったけど、思わず逸らしちゃった」
「えぇー? 何でぇ? もっかいもっかい!」
「うえぇ」

 渋い顔をして、携帯を耳から離す。

「ちょっとぉ? 出来るだけ、楽しそうな感じでさぁ。ね? ね?」

“よく分かった。酔っぱらった摩央はめんどくさいことが”

 はぁ、と溜息をついて、口角を上げる。酔っ払い摩央を相手にしながら、今いる場所をウロウロしながら喋った。
 私は一体何をやっているんだと思いつつも、確かに反応があるなら少しは見てみたいという興味に負け、無駄に大きくリアクションをしてみたり、チラチラと飲みの席を気にする素振りを見せたりしながら、少しばかりの間外にいた。

「あー、いけない。あんまり長くなってもいけないから、もう席に戻るよ?」
「えー、摩央ちゃん寂しい」
「……彼氏叩き起こせば?」
「冷たいなぁ千景。でも、まぁ気まずくなさそうで良かった。飲み会楽しんできてね!」
「う、うん。ありがと」

 渋るのかと思ったらアッサリと電話を切ったので拍子抜けしたが、やはり心配してくれていたのかと自然と笑顔になった。

“美味しいご飯がなくなっちゃう。早く戻ろう”

 席に戻った時、私の席には料理の乗せられた小皿が置いてあった。

「あれ? こんなの置いたっけ?」
「千景ちゃんの分がなくなっちゃうからって、航河が置いてくれたんだよ」
「え、そうなの? 有り難う航河君」
「……あー、うん」

 こちらを見ることもなく、素っ気ない返事をした。

「千景ちゃん、誰からだったの? 彼氏?」
「え。彼氏だったら此処にいないもん」
「じゃあ何? 急いで電話に出て外に行っちゃうような相手だから……イイ感じの男?」
「オミさんほんとそういう話好きだよね」
「俺だって浮いた話の一つや二つしたい」
「オミさんに彼女がいないのも不思議だけどね、その顔で」
「付き合ってみると大体振られる」
「ごめん何か不憫」
「可哀想な目で見ないでよ。で? 実際は?」
「んー……内緒」

 敢えて含みを持たせて答えた時、丁度ケーキが運ばれてきた。