7. かがやく夜に (リィナとよるのないまち)

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 「おそくなってごめんね。今から照らすよ、リィナのまちを」

 お月さまはそう言って、目をつむりました。すると、お月さまのからだが、どんどんと明るくなっていきます。

「すごいよ! キレイ!」

 お月さまのからだが光ると、リィナのまちも明るくなりました。空は暗いのに、月明かりに照らされたそこは、じんわりとやさしくうつしだされていました。

「リィナ!」
「あっ! おかあさん!」

 ずっとずっと遠くの方から、リィナをよぶ声がします。その声の主は、リィナの大好きな大好きな、リィナが夜を見せたかったおかあさん。

「おかあさん! リィナ、夜をつれてきたよ!」

 小さな小さなおかあさんに向かって、リィナはさけびました。

「ボクが下までつれていってあげるよ」
「わたしも下までつれていってあげるわ」

 お星さまは、リィナとガルーダをつれて、下へ下へととんでいきました。たくさんの他のお星さまがずっと少なくなり、お月さまが遠くに見えるようになったころ、かわりに地面が近づいてきました。

「リィナ! リィナ!」
「おかあさん! ただいま!」

 リィナは地面にトンっとおり立ちます。ずっとリィナのことを待っていたおかあさんの目にはなみだがうかんでいました。

「おかあさん、あのね、リィナね……」
「わかってる、わかっているわリィナ。ありがとう。こんなにステキな夜を見せてくれて」
「すごいでしょ? 神さま、わすれてたんだって。でも、ごめんなさいしたから、いいよね?」

 リィナは、さっきまで自分がいた空を見つめながら言いました。

 ポツ、ポツと、村の家に明かりがともります。もれる明かりがそれはまたキレイに見えました。

「リィナ、帰ろう、帰って……その、うしろの大きな鳥はなんだい……?」
「ガルーダさんだよ! やさしいんだよ! リィナが神さまのところに行くのに、ついてきてくれたの」
「──キィィィィイ」

 ガルーダはひとなきすると、そのばにすわりこみました。

「……おい! ソイツは……」
「ダメだよおじさま! こわがらせないで!」
「いや、その……すまなかった。何もしていないのに、ひどいことを言って」

 おじさんは、ガルーダへちかよると、おそるおそるその羽をなでました。ガルーダは目をつむり、そっと身をゆだねました。
 そう、何もこわいことはないのです。ただ人が見たら、大きくて強そうに見えるだけなのだから。その見た目だけでは、中身はわからないですからね。

 リィナはおかあさんといっしょに、家へと帰りました。

 ガルーダは、村に住むことになりました。ひとりぼっちはさみしいだろうから、と、村人が広場に小屋をたて、めんどうを見ています。

 この、リィナが夜を探しに行った日から、リィナのすむまちには、夜が来るようになりました。神さまのごめんねのしるしに、毎日、たくさんの星を浮かべて。

【終わり】